へらぶなつり|免許が失効して父親と最初で最期の宮沢湖

2018年9月5日

私は、へらぶな釣りには主に宮沢湖と円良田湖によく通っていました。

ある時、私は車の免許の更新を忘れて、免許を失効してしまったんです。

そう言う時に限って、釣りに行きたくなるんですよ。

当時、私はへらぶな釣りに夢中だったので、父親にお願いをして、宮沢湖まで連れて行ってもらったんです。

私はもう、何度も宮沢湖には通っていたので、どのようなエサが良いとか、ポイントはここが良いという情報はバッチリだったんです。

円良田湖に行くよりも、全然近いので、宮沢湖を選びました。

父親はと言うと、昔よく一緒にへらぶなの釣り堀に行きました。

私が小学校の頃でしたか、日曜日の10時頃になると、私が寝ている父親のところまで行って、釣り堀に連れて行ってくれるように催促をしたんですよ。

そもそも父親は、海釣り専門でしたが、私の影響でヘラブナ釣りを始めたんですよ。

でも、父親は色弱だったので、私たちには考えられないようなトップのへらウキを使うんです。

例えば、白地に黄緑のメモリがついているだけのへらウキとか。

本当に、こんなもんでへらのアタリが取れるのかと思うようなへらウキでした。

釣果の方は、断然私の方がたくさん釣れて、父親は、私の横で私のウキを観ながら、「あれで当たってんだ!!」と、アタリを見分ける技術が未だ身についていないようでした。

そんな父親と、初めての野ベラ釣りが宮沢湖でした。

野ベラと言っても管理釣り場ですが、釣り味は最高です。

手漕ぎボートを2艘借りて、並べてボートを湖面のロープで固定しました。

宮沢湖でメジャーなのは、ボートの提灯釣りで、竿は12~13尺を使うのが一般的です。

父親が13尺、私が12尺の竿を使用しました。

私は、カーボンの並み継ぎの良い竿を持っていたので、それを使用したのですが、父親はグラスの振り出ししか持っていなかったので、それを使用していました。

エサは、確か青ベラの元練りをちょっと硬めに練り込んだものを練って、半分父親に渡すと、「こんなに硬いエサでいいのか?」と聞いてきました。

私は、「釣り堀の時は柔らかめだけど、野釣りではこれ位の硬さじゃないと釣れない」と、説明をしました。

父親は、「ほ~」と言いながら、私が渡したエサを使用していました。

両ダンゴで、5投位したところで、私のウキが消し込みました。

すかさず合わせると、見事に良型のへらぶなが釣れました。

それを観ていた父親が、今度は負けじとへらを釣り、「釣り堀よりもアタリがデカイんだな!!消し込んだぞ!!」と、言って来たので、「野ベラは釣り堀よりも、アタリはデカイんだよ!!」と、応えました。

正直、それについては今でもそう思っています。

私が1尾釣ると、父親も1尾上げ、とデッドヒートを繰り返し、2人で正味10尾づつ釣ったでしょうか?

最終的に、私が1尾、父親に負けた釣果となりました。

その日の釣りはそれで終わったのですが、後日、実家には新品で18尺で振り出しのカーボン製へら竿が置いてありました。

置いてあることは知っていたのですが、私は決してその竿には触れず、父親も一切、その竿については何も言いませんでした。

その数カ月後、父親は急性心筋梗塞で他界してしまい、父親が購入した18尺のへら竿は1度も使われることはありませんでした。

私はその竿を、父親の方見として譲り受けました。

私が中学校の時からもう一緒には釣りに行かなくなったので、父親と一緒に釣りに行ったのは、実に18年ぶりでした。

30歳の時も、父親を釣りに誘うのは照れくさかったので、免許の失効にかこつけて、宮沢湖に誘ったのだと思うんですよ。

そして、それが父親と最後の釣りになったんですよ。

何とも不思議な話だと思いませんか?

最期にもらった18尺のカーボンロッドも、残念な事に振り出しなんですよ。

せめて、並み継ぎの竿にして欲しかった!!

じゃないと、出番が無いでしょう!!

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